研究紹介
シミュレーションによるタンパク質の機能発現機構解明(鷹野・齋藤)

例えば、酵素とよばれるタンパク質は温和な条件で呼吸・光合成といった生命維持に欠かせない生化学反応を行っています。このような反応を通常の実験で行おうとすると、高温・高圧などの非常に危険な条件が必要となります。(優れた触媒)
また、免疫ではたらく抗体というタンパク質は病原体の出す物質など(抗原)と結合し異物を見わけるのですが、一つの抗体はある決まった抗原にしか結合しません。非常に高精度に抗原を区別することができます。(高い特異性)
このように、タンパク質はとても優れたはたらきをする分子です。そのはたらくしくみを理解するためには、「はたらく瞬間の姿」を見ることが重要になります。コンピュータシミュレーションには、現実に結果を確かめることが困難な「はたらく瞬間の姿」を理論的に追跡し、可視化することができるという他にない利点があります。そこで、私たちはコンピュータシミュレーションを用いて、「タンパク質のはたらく瞬間の姿」を見ることで、そのはたらくしくみを明らかにしようとしています。また、そのしくみを利用した新しいタンパク質や薬剤の開発を目指しています。
具体的には以下の課題を実施しております。
- 分子動力学シミュレーションによる抗体のCDR-H3における構造安定性の解析
- ヘムタンパク質の構造機能相関の解明に向けた網羅的理論解析(鷹野)
- 人工触媒(酵素)創製に向けた分子レベルでの酸化反応の機構解明(齋藤)



私たちは計算機を用いた量子化学計算、シミュレーションによる分子レベルでの酸化反応の機構解明を課題とし、以下の3つの研究を行っています。(1)有機分子から金属酵素まで様々な酸化反応を素反応レベルで詳細に計算し、反応を促進させる重要な要因を解析しています。(2)同時に生体模倣触媒の計算も行い、金属酵素との反応性の類似点・相違点を調べることで、改善すべき点を議論しています。(3)また、より精確なシミュレーションを実行可能にするための既存の方法の改良、新規手法の開発にも取り組んでいます。
LEDランプの演色性の研究(中野)

病気の診断に用いるアミノ酸計測用バイオセンサーの開発(釘宮)

本研究の目標は、上記のような分析を「その場」において特殊な技術や大型の装置を必要とせずに、迅速かつ簡便、安価に20種類のアミノ酸濃度を網羅的に計測することができる装置を開発することにあります。
本研究が実現することで、一つの装置あるいは分析キットで複数の病態の診断が可能となり、また病気の早期発見や病態異常への早期対処が出来るため、患者のみならず健常な人の医療や食に対する安心・安全を実現し向上させることが可能になると考えられます。
LED完全制御型植物工場に関する研究(香田)
